栗芳ですが、何か。

たぶん、いけばな日記。

どんぐりのトクサ。

 

古典的ないけばなのスタイルを、「お生花(せいか)」って呼ぶの。

 

このスタイルのいけばなを活ける時には、いろんなルールがあるわけ。
流派によって、違いはあるんだけど、八代流には「陰陽五行」思想が盛り込まれているの。

陰陽ってのは、日向と日陰。
五行ってのは、木火土金水(もっかどごんすい)。

木が燃え、火となり、土に還ってミネラルになり、土の中で水ができる、みたいな感じで、輪廻というか、循環しているというか、終りなんてものはない、みたいな、そんな思想だと私は捉えているんだけども。

 

で、この五行を、五体で表現するの。
5体ってのは、青色で丸く塗りつぶしてあるコが、それにあたるわけ。
それぞれに名前がついていて、「礼」「正花」「体」「通陽」「留」って呼ばれている。

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高さや位置関係に制約があって、そのルールに則って表現することになるの。

で、上手に活けられるようになってくると、花材そのものではなく、その花材が生み出す空間にも氣づかされるような、そんな3D感覚をも楽しめるような、いけばなになってくるわけ。

 

流派によって、細かいところでは違いはあるんだけど、大まかな考え方みたいなものは共通してると思う。


で、うちの流派の特徴は、三日月なわけ。
流紋でもそれが現されている。

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この形を、いけばなで表現してる。
写真だとどうしても2Dでしか見られないから、3D感を楽しめないのが残念なんだけど。

○に二のとこは、足利義政公の紋なわけ。八代目の将軍ってことに因んで、八代流っていう名前にしたらしいの。

 

で、5体に話を戻すんだけども。
植物って、同じ品種であっても、環境や部位によって、形なんてサマザマでしょ。
癖のある枝があったり、弱弱しかったり、いろんな形状に成長するよね。

5体の枝が、全部同じ太さで、特徴も同じ状態であれば、何をせずとも三日月空間が作り出されるはずなわけ。

だけど、どこかに癖のあるコをつかって、残りの4体で微妙に高さを変えてみたり、位置を変えてみたりして、バランスを取り直しつつ、いつもの3D感を作り出してみたいって思える出来事があったわけ。

 


それが、どんぐりさんから贈られてきたトクサだったわけ。
人の手を加えることなく、自然の中で育ったトクサの見事な力強さと、
自然の厳しさの中で、折れてちぎれてしまったり、クネクネと曲がって育ってしまったりするコがいて。

 

今回、トクサとカキツバタを使って、三日月を作ったわけ。

大人と子供っていう格を作りたくて、2種ね。


異なる素材でありながらも、違和感を生み出さないように氣を配って、
癖のあるコを使いながらも、いつもの三日月になるような、そんな空間づくりを目指して活けてみたわけ。

普通はね、癖のあるコは使わない。活けづらいから。


でもね、「これは規格外だから、使えない」という発想ではなく、
「これこそが、自然の中で育まれた和の象徴なのではなかろうか?」という発想を持ちたくなったわけ。「必要ないものなど、何もない」的な。

調和によって作り出されるバランスってのが、あるんじゃないか、と。
それぞれの格の演じ方を変えながら、チームワークを整える、みたいな。

 

強制されてそうなるのではなく、自然とそうなっていくというか、
それぞれが、それぞれの役割を考え出すというか。


あぁ、これって、どんぐりの営みに似てるなって、しみじみ感じたわけ。


結果としてね、癖のあるコと、つくし頭のコが、水揚げが悪くていけばな展当日の朝、しおれちゃって。
急いでパーツを取り換えて、活け直したから、あまりそういう部分が活かせていないんだけど。

ひこばえしてるコも使ってあるんけど、画像ではわからなくなっちゃった。

風に吹かれて、トクサ同士で擦れて折れてしまったりしたコを作り出して、
折れてもなお、日の光に向かって伸びようとする、そんな表現もしてみたかったわけ。


単体で生きるっていう、個でとらえることをせず、
周りとの調和を、意識することなくともいつの間にか取れちゃっていて、
そんな環境の中で、逞しく育っていくんだ、みたいな、そんなどんぐりを表現できたと思ってる。

 

お生花と呼ばれる古典のいけばなは、こういう物語を自分で考えて、作品に盛り込むの。


見てくれた人に、これが通じたとき、いつも私は拳を握りしめ、心の中でガッツポーズをとるの。

ってか、嘘。普通にガッツポーズとっちゃう。

 

とっちゃった。照

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そういう日に吞むお酒って、もうね、格別。笑